『あなたは私の花』③

「あんた死のうとしただろ。」

椿の言葉に何も言えなくなった。

「まあ でも、運が良いのか悪いのか助かったけどな。あのなーー」

どうしてエリカがここに居るのか説明した。

「椿先輩が私を助けたんですね・・・。」

椿が言うことは理解したが

ただ一つだけ分からない事があった。

「落ちたのになんでかすり傷だけ・・・。」

そう、エリカは確かに落ちた。

【死】を考えていたのだからかすり傷ですむはずがない。

エリカは椿から目をそらして下を向いた。

「あー、あんた気付いてなかったのか。」

椿は様子をうかがいながら話を続けた。

「あんたが落ちた所、ちょうど木の上だったんだよ。それで助かったのは奇跡なんだけどな。」

エリカは少し考えたあと、真っ赤な顔になった。

「思い出しました・・・私下を見ずに・・・。」

小さな声は微かに震えていた。

ポンポン

椿は何も言わずエリカの頭に優しく触れた。

エリカは驚いて持っていたココアをこぼしてしまった。

「あっ!」

着ていた服にかかってしまった。

椿はすぐに拭くものをわたした。

「あ、ありがとうございます・・・あの私もう、」

エリカは気まずくなったので帰ろうとベッドからおりようとした。

ガクッ

「あっぶね」

椿は落ちそうになったエリカを抱きしめた。

(まただ・・・温かい体温、鼓動・・・)

エリカは屋上から落ちた時のことを思い出していた。

「ーーい、おい!大丈夫か?!」

椿の声にハッとした。