『あなたは私の花』⑥

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エリカはお風呂をあがった後

自分の寝室に向かった。


(少し寝よ・・・学校は休もうかな)

外は少し賑やかでなかなか眠れない。

エリカは布団の中にもぐった。


ーーー


「ん・・・」

眠ってから6時間以上たっていた。

(・・・お腹空いた)

キッチンに向かって冷蔵庫をあけた。

(何もないじゃん・・・買いに行こ)


家を出て10分歩けばコンビニ。

部屋着のままコートを羽織り

暗くなっていく外を歩いて行った。



「いらっしゃいませ〜」

外とは違ってコンビニの中はあたたかい。

エリカはお弁当を買ってコンビニを出た。



「待って!」

と同時に腕をつかまれた。

『あなたは私の花』⑤

ーーー

「ただいま」

誰もいない家の中は薄暗い。

「おかえり」の言葉も 物音ひとつしない。

エリカは部屋の電気をつけた。

(お風呂・・・)

コートとカバンをソファーに置いてお風呂に行った。

湯船を荒いお湯をためた。


ピー


お湯がたまったお知らせ音。

エリカは足早に脱衣所へ行き服を脱いで体を綺麗に洗った。


チャポン


湯船に浸かると擦り傷の多い手足が

ヒリヒリと痛んだ。

(傷だらけ・・・)

そう思った時 椿のことを思い出した。

(あの人は怪我してないのかな・・・)

エリカを助けた椿のことが気になった。

『あなたは私の花』④

「え...あ!ごめんなさい!」

恥ずかしさでいっぱいになった。

「落ち着いて。」

椿の方を向けず立ち上がった。

「ハ〜・・・。

何があったのか知らないけど死のうとするのは違うんじゃないの?」

椿の言いたいことはわかっていた。

でもそれは 聞き飽きた言葉。

("キレイ事"なら誰でも言える。)

そう言いかけた口を閉じた。

エリカは鞄を持って軽く頭を下げ部屋を出た。

階段をおりて少し急いで靴を履いていたら

椿がおりてきた。

「夕方6時 屋上に来て。」

聞こえないフリをした。

「ご迷惑おかけしてすみませんでした。」

そう言って家を出た。

外は少し明るい。

「・・・さむ・・・」

エリカは携帯をひらいた。

トップ画面には時間。

(6時52分)

あれから12時間たっていた。

「まだ生きてるんだ・・・。」

吐く息は白く、

うすく積もった雪道をゆっくり帰っていった。